ドレス貸し借り同人
貸衣装は、なにも結婚式やパーティのフォーマルウェアだけとは限らない。主婦の方たちなど、友人同士で「ドレスの貸し借り」をしているという話を聞くし、私の知人にも実際そのような人がいる。埼玉県の森秀美さんと、千葉県の板谷広江さんである。
この二人は高校時代のクラスメート。体型が似ていて、学生時代から洋服の「貸し借りごっこ」をしていたという。結婚して専業主婦に納まってからも、この貸し借りがつづいているそうだ。
「衣服代が半分くらいになりますね。二人で別々に買って、取替えっこしますから」(森さん)
「住んでいるところが違うので、抵抗感がありません。まわりの人はみんな私が自分で買ったと思われるらしいのですが」(板谷さん)
女性は自分と同じ服を他人が着ているのをイヤがる。だからブティックでは、同じものは数着程度しか置かない。連年、有名デザイナーによるファッションショーに注目が湧くのも、1点、あるいはごく少しの点数しかないファッションだからだ。女性アナウンサーが毎日違ったファッションをする心理もそのへんを考慮してのことではないだろうか。
女性とはかぎらないが、服は買い出すとキリがない。しかも1度着てしまえば、2回目からは「古着」になる。その点、かつての社会主義国の国民服は経済的だった。みんなが同じ思想のもと、同じ服を着るという公平さ。自由経済は女性のファッションから始まるといわれているが、毎週ゴミ収集日に『燃えるゴミ』の中に衣類が積んであるのを見ると、ボロを着ている途上国の人たちを思って胸がつかえる。
「もったいない、ということを知らない」
と私は腹が立つのである。地球上にはまだ数億人単位の人たちが飢え、着の身着のまま路上で生活している。それらの衣類をもっと公平に分配したら、ということで、私は海外に出るたびにトランクに衣服を詰めて出かけることが習慣になっている。それを途上国の人たちに役立ててもらうためだ。
貸衣装の話から脱線したが、前述の森さん、板谷さんの洋服の『貸し借りごっこ』は、じつはけっこう多いのだ。関東より関西方面でよく聞く話で、中には10人単位でグループをつくっている人もいる。そうなると「衣装代は10分の1」。違ったドレスをあれこれ楽しめ気分も優雅。
レンタル衣装はレンタル文化でもある。
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